周知のとおり、平成21年度改正により間接外国税額控除制度が廃止されましたが、平成21年4月1日前に開始した事業年度において外国子会社から受けた配当等の額がある場合には、その配当等の額を受けた内国法人の同日以後3年を経過する日以前に開始する各事業年度において外国子会社又は外国孫会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち、その配当等の額に係るものについては、間接外国税額控除の適用を受けることができる、という経過措置が設けられています(改正法附則12②)。
しかし、間接外国税額控除の適用を受けた外国子会社及び外国孫会社に係る外国法人税の額が後に減額された場合の調整に関する規定(旧法法69⑩・⑭)については、経過措置は設けられていません。
すなわち、間接外国税額控除制度においては、直接外国税額控除制度と同様に、間接外国税額控除の適用を受けた外国子会社及び外国孫会社に係る外国法人税の額が後に減額された場合には、一定の調整を行うこととされていましたが(旧法法69⑩・⑭)、この減額に関する調整の規定は、平成21年度改正により、間接外国税額控除制度の廃止と同時に廃止され、特段の経過措置が設けられていないわけです。
このため、間接外国税額控除の適用を受けた外国子会社及び外国孫会社に係る外国法人税の額が平成21年4月1日以後に減額された場合であっても、減額に関する調整は行わない、ということになります。
なお、現在までのところ、間接外国税額控除制度における減額に関する調整について経過措置を設けなかった理由を説明したものは見当たりませんが、間接外国税額控除を経過的に認める期間が3年間という短期間であることや減額の事例が多く存在するわけでもないこと等からすれば、一種の割切りとして、減額の調整までは求めないこととしたものと推測されます。