Q&A

公益法人税制

 

5.実費弁償による事務処理の受託


 国策による基礎研究・調査・技術の保存等を目的としている特例財団法人で、その運営原資を国からの受託収入と金融資産収益に依存しています。

 

 国からの受託収入は実費相当が入金されているため、いわゆる実費弁償の届出を5年ごとに課税当局に提出・承認を受けることによって、現在、法人税の申告が必要とされていません。

 

 この特例財団法人が、非営利型一般財団法人へ移行することを考えています。

 

① 非営利型一般法人は、金融資産収益への源泉徴収所得税が発生しますが、この源泉所得税について、還付申告を行うことができるでしょうか。

② 還付申告を行う場合の申告対象ですが、「実費弁償の届出」は温存され、金融資産収益のみを申告することはできるでしょうか。

③ 実費弁済の届出を行っている業務以外の、「その他の収益業務」を開始した場合に、事業ごとに「実費弁償の届出」と併用することができるでしょうか。

①・②について

 非営利型法人については、法人税法上、公益法人等(別表2)とされており、収益事業を行う場合に限り課税を行うこととされていますが、所得税法においては、公共法人等(別表第1)とはされておらず、その受け取る利子・配当等については、所得税を課すこととされてます(所法174)。

 

 法人が受ける利子・配当等について課された所得税額については、法人税の確定申告に際して法人税額から控除することができますが(法法68①)、収益事業課税とされる非営利型法人が、この税額控除の適用を受けることができるのは、その利子・配当等が収益事業に属する場合に限られます。

 

 ご照会の非営利型法人については、その行う収益事業について、実費弁償による事務処理の受託等として税務署長(又は国税局長)の確認を受けているとのことですが、この取扱いは、確認を受けた場合にはその確認を受けた期間についてその業務を収益事業としては取り扱わず確定申告を不要する、というものです。

 

 既に確認させて頂いたとおり、金融資産収益については、収益事業の付随事業となる場合にのみ課税対象とされ(法令5①、法基通15-1-6(5))、それ以外の場合には法人税の課税対象とはされておらず、また、上記のとおり、実費弁償の確認を受けた業務については、収益事業として取り扱わないこととされていることからすると、ご質問の利子・配当等については控除を行うことはできない、ということになると考えます。

 

 なお、「金融資産収益のみを申告すること」が可能かとのご質問ですが、これに関しては、「金融資産収益」の内容等が分かりませんので、的確な回答を差し上げることはできません。「金融資産収益」の内容等を詳細に確認し、質問4-①・②に対する回答を参考に、検討を深めて頂ければ幸いです。

 

 そして、その結果を踏まえて、可能ということになれば、まず、上記の確認の内容の変更の手続を行うことが必要となると考えます。

 

③について

 実費弁償の届出をし、確認を受けている業務は、収益事業として取り扱わないこととされていますので、確認を受けている期間中で、その業務の状況に変更がないのであれば、新たに開始した「その他の収益業務」のみを法人税の課税対象とすることになるものと考えます。

 

 なお、新たに開始した「その他の収益事業」と「実費弁償の確認」を受けている事業とは、区分経理することが必要(法令6)となりますので、ご留意下さい。