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どこがどうなる!? 税制改正の要点解説<平成23年度>

朝長 英樹【監修】

どこがどうなる!? 税制改正の要点解説<平成23年度>

A5版・単行本・173ページ

清文社(2011/02/28)

定価1,000円

はしがき

 

 平成23年度改正案は、従来のように、大きな影響のある新たな制度を創るといったようなものとはなっておらず、一見、地味な印象を受けますが、その内容をよく見ると、メリハリの利いた素晴らしい抜本的な改正案となっている、と感じます。

 

 各改正案の内容は、本書中にて解説しているとおりですが、法人実効税率の引下げ、繰越欠損金の控除制限や貸倒引当金の制限などの課税ベースの拡大、所得税における諸控除の見直し、相続税・贈与税の税率構造の見直し、地球温暖化対策のための税の創設、市民公益税制の拡充、消費税における益税対策、納税環境整備などが注目すべき項目となっています。特に、納税環境整備として、平成23年度と24年度以降に行うこととされている納税者権利憲章の制定、税務調査手続の明確化、更正の請求期間の延長、処分の理由附記の実施、国税通則法の抜本改正、国税不服審判所の改革や社会保障・税に関わる番号制度の導入などは、非常に重要な改正となります。

 

 繰越欠損金の控除制限や貸倒引当金の制限など、税制度の本来のあり方という観点からすると疑問が生ずるものもありますが、税率の引下げの財源ということからすると、やむを得ない、と言わざるを得ないでしょう。

 

 政治に期待や信頼が薄れて行く中にあって、税に関してこのような素晴らしい内容の抜本的な改正案が提出されるということは、賞賛に値する、と言って良いように思われます。現在のような非常に難しい政治環境の下で行う税制改正には、多大な困難が伴います。このような中にあって、今回のような改正案が提出されることとなったのは、間違いなく、関係者の大変な努力によるものです。

 

 税制改正大綱に示された、このような改正案が国会でそのまま成立するのか否かは予断を許さないと思われますが、我が国の現在の閉塞感を打ち破るシグナルとするべく、早期成立が期待されるところです。

 

 ところで、従来、本書のシリーズは、税制改正法案が国会に提出された後に税制改正大綱と税制改正法案に基づき、執筆を行っていました。しかし、読者からの希望等を踏まえ、今年から、速報性をより一層重視することとし、税制改正大綱に基づき、早期に執筆して出版することとしています。

 

 このため、今年の本書は、従来とは異なり、税制改正法案の内容を反映するものとはなっていませんが、今年からは、従来以上に、読者の皆様方のニーズに細かく応える方策を検討してみたいと考えています。

 

 仮に税制改正大綱に基づく要点解説 ⇒ 成立した法律と政省令に基づく法令解説 ⇒ 当局の解説や解釈通達に基づく詳細解説というように、読者の皆様方の各段階ごとのニーズに応じて、各年の改正事項を発展的に解説することができるとすれば、読者の皆様方の改正事項に関する理解もなお一層深まり、従来以上に歓迎して戴けることとなるのではないかと考えます。

 

 上記のとおり、本書は、税制改正大綱に基づき、平成23年度の税制改正案をできるだけ早く読者の皆様方のお手許にお届けするべく、各執筆者が鋭意努力して執筆したものとなっています。このような本書が読者の皆様方の実務に少しでもお役に立つようであれば、幸いです。

 

 編者を代表して 日本税制研究所 代表理事 朝長英樹
                  税理士 竹内陽一

読者の皆様へ

 

 読者の皆様のご要望にお応えして、本年度より改正税法の全容をまとめた「法律と政省令に基づく法令解説版」を、改正政省令公布後のいちはやい段階で“電子書籍”として新たに開発しご提供いたします。

 

 また、本商品の特典として、その後の当局の解説・解釈通達などを織り込んで情報更新した「詳細解説版」も併せてご利用いただけます。

 

 本商品の発売時期、ご購入方法などは、清文社ホームぺージ にてご案内いたします。

【執筆者一覧】

 

【監修者】

朝長 英樹(ともなが ひでき)

財務省主税局・税務大学校勤務後平成18年7月退官
税理士・一般社団法人日本税制研究所代表理事
東京都千代田区神田錦町1丁目23番地 宗保ビル2F
TEL 03 - 5282 - 8270

 

【編著者】

阿部 泰久(あべ やすひさ)

(社)日本経済団体連合会経済基盤本部長

 

小畑 良晴(おばた よしはる)

(社)日本経済団体連合会経済基盤本部主幹

 

掛川 雅仁(かけがわ まさひと)

税理士
大阪市北区芝田2-1-18 西阪急ビル9F
TEL 06 - 6375 - 3364
FAX 06 - 6375 - 1139

 

塩野人 文雄(しおのいり ふみお)

税理士(青空税理士法人 日比谷事務所)
東京都千代田区有楽町1-9-1 日比谷サンケイビル5F
TEL 03 - 5220 - 7795
FAX 03 - 5220 - 7796

 

竹内 陽一(たけうち よういち)

税理士(一般社団法人FIC代表理事)
大阪市中央区谷町2-7-4 谷町スリースリーズビル5F
TEL 06 - 6945 - 5766
FAX 06 - 6945 - 5799

 

【共著者】

浅野 洋(あさの ひろし)

税理士(しんせい綜合税理士法人)
名古屋市西区上小田#2 - 302
TEL 052 - 504 - 1133
FAX 052 - 504 - 1134

 

神谷 紀子(かみや のりこ)

税理士
名古屋市中区丸の内1 - 4 -12 AREXビル2F
TEL 052 - 205 - 9800
FAX 052 - 205 - 9801

 

小林 磨寿美(こばやし ますみ)

税理士
神奈川県厚木市中町2 -13- 4 サンシャインビル401
TEL 046 - 225 - 3114
FAX 046 - 225 - 3158

 

武地 義治(たけち よしはる)

税理士・CFP(R)(税理士法人カオス代表社員)
大阪市北区西天満5-1-9 新日本曽根崎ビル4F
TEL 06 - 6311 - 6000
FAX 06 - 6311 - 6001

 

中尾 健(なかお たけし)

公認会計士・税理士((株)パートナーズ・コンサルティング)
東京都中央区京橋1-1-5 セントラルビル5F
TEL 03 - 3510 - 1033
FAX 03 - 3510 - 1065

 

蓮見 正純(はすみ まさずみ)

公認会計士・税理士((株)船井財産コンサルタンツ)
東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス3F
TEL 03 - 6439 - 5800
FAX 03 - 6439 - 5850

 

長谷川 敏也(はせがわ としや)

公認会計士・税理士(税理士法人アズール)
名古屋市中区丸の内1 - 4 -12 AREXビル
TEL 052 - 218 - 9603
FAX 052 - 218 - 9606

 

棟田 裕幸(むねた ひろゆき)

公認会計士・税理士
東京都千代田区西神田1-3-6 ゼネラル神田ビル8F
TEL 03 - 3292 - 6811 FAX
FAX 03 - 3292 - 6815

 

大塚 直子(おおつか なおこ)

税理士(青空税理士法人 青山事務所)
東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス3F
TEL 03 - 6439 - 1471
FAX 03 - 6439 - 1472

 

新沼 潮(にいぬま うしほ)

税理士(公認会計士 緑川事務所)
東京都千代田区有楽町1-9-1 日比谷サンケイビル2F
TEL 03 - 5220 - 7791
FAX 03 - 5220 - 7518

 

幕内 浩(まくうち ひろし)

(社)日本経済団体連合会経済基盤本部

 

村田 聡(むらた さとし)

(社)日本経済団体連合会経済基盤本部

 

鷹取 悛浩(たかとり としひろ)

一般社団法人日本税制研究所主任研究員・名南税理士法人

 

藤川 武(ふじかわ たけし)

一般社団法人日本税制研究所主任研究員

もくじ

 

○ 基本的考え方・007

I 法人税関係の改正
    1 法人税率の引下げ・009
    2 中小法人等における軽減税率の引下げ等・012
    3 仮決算による中間申告における上限設定・014
    4 減価償却制度の改正・015
    5 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の導入に伴う措置・018
    6 棚卸資産における切放し低価法の廃止・021
    7 貸倒引当金・022
    8 欠損金の繰越控除80%制限と繰越期間9年への延長・024
    9 寄附金・028
   10 清算中子法人・解散見込子法人の株式評価損の損金不算入・030
   11 残余財産がないと見込まれる場合のマイナスの資本金等の額の損金算入

    ・031
   12 自己株式となる株式の適格現物分配における欠損金使用制限の除外・032
   13 完全支配関係にある複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている

    中小法人への中小特例の不適用・036
   14 一定の特別償却等の廃止・037
   15 試験研究費・038
   16 雇用促進税制の創設等・041
   17 環境関連投資促進税制の改正・044
   18 総合特区制度・アジア拠点化推進のための税制・045
   19 税特透明化法による適用額明細書の提出・049

II 相続税・贈与税関係の改正
    1 相続税の基礎控除及び税率構造の改正・052
    2 死亡保険金非課税枠の見直し・057
    3 未成年者控除及び障害者控除の改正・058
    4 贈与税の税率構造の改正・60
    5 住宅取得等資金贈与の非課税措置における住宅取得等資金の範囲の追加

    ・064
    6 非上場株式等の納税猶予制度の見直し・065
    7 相続時精算課税制度の改正・067
    8 被相続人に生じている未実現の定期預金の利子等に対する課税の明確化

    ・068
    9 相続税の連帯納付義務の見直し・069

III 所得税関係の改正
    1 給与所得控除の見直し・071
    2 特定支出控除の見直し・074
    3 退職所得課税の見直し・076
    4 成年扶養控除の見直し・078
    5 扶養控除等のまとめ・081
    6 特定寄附信託・083
    7 年金所得者の確定申告不要等・085
    8 生命保険契約一時所得から控除する負担保険料・086
    9 寄附等税額控除制度の導入・088
   10 認定NPO法人制度の見直し・091

IV 金融証券税制の改正
    1 軽減税率の2年延長・098
    2 特定口座受入れの整備・099
    3 被相続人一般口座から他証券会社等の相続人等特定口座への移管・101
    4 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税

     措置(「日本販ISA」)・105
    5 上場株主大口株主要件の3%への引下げ・106
    6 みなし取得費の廃止と贈与等取得株式の取得価額・108
    7 店頭FX取引等の申告分離課税化・109
    8 相続等保険年金源泉徴収の廃止・110

V 土地・住宅税制の改正
    1 特定資産買換えの3年延長・112
    2 既存住宅改修工事等税額控除の見直し・114
    3 高齢者向け優良賃貸割増償却の改正・117
    4 新築住宅等軽減・118
    5 高齢者サービス付き住宅軽減・119

VI 消費税関係の改正
    1 免税事業者要件の見直し・121
    2 仕入税額控除95%ルールの見直し・124
    3 消費税還付申告書の添付書類・126

VII 国際課税関係の改正
    1 移転価格税制の見直し・128
    2 税率が納税者と外国税務当局等との合意により決定される税の控除除外

    等・130
    3 外国子会社合算税制・131
    4 外国税額控除制度の見直し・134
    5 外国法人が現物出資を行う場合・137
    6 非居住者等振替公社債利子等の非課税制度・138
    7 外国金融機関等の債券現先取引に係る利子課税の特例・140

VIII 国税通則法の改正
    1 納税者権利憲章・142
    2 税務調査手続・143
    3 更正の請求等・145
    4 理由附記・148
    5 租税罰則の見直し・149
    6 還付加算金計算期間の見直し・150
    7 当初申告要件の廃止と控除額制限の見直し(更正の請求の範囲の拡大)

    ・152
    8 事前照会文書回答制度・155
    9 法定調書1,000枚以上の場合の光ディスク等による提出義務・157

IX 保険年金最高裁判決への対応
    1 最高裁判決の要旨・161
    2 雑所得計算の改正・161
    3 現行法での還付・164
    4 特別還付金・165
    5 更正の請求の特則・169

X 地球温暖化対策
    1 改正前の制度の概要・170
    2 改正の概要・171

XI 社会保障・税に関わる番号制度・173