朝長 英樹【監修】
佐々木克典 竹内 陽一【編著】
長谷川敏也 吉田 久子 鈴木 達也 山田 純也【共著】
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推薦のことば
我が国は、世界に前例のない速さで高齢化が進んでおり、安定した医療・介護サービスの提供が求められています。
団塊世代がすべて 75 歳以上となる 2025 年には、後期高齢者人口が 3,657 万人に達することとなるため、これに対する対策が、国を挙げて行われています。
医療・介護サービスにおいては、在宅医療の推進、サービス付き高齢者向け住宅制度の創設、介護療養病床の廃止などが行われています。 そして、医療法人の法務・税務においては、社会医療法人制度の創設、医療法人制度の改革、介護施設の特別償却制度の創設などが行わ れています。
本書は、平成 22 年1月に発刊された初版に、最新情報を追加し、更なる内容の吟味を重ね、装いも新たにしたものとなっていますが、 医療法人の法務・税務における諸制度を分かり易く解説し、税務の実務上の取扱いや留意点について、具体的に解説を行ったものとなっています。 本書は税理士をはじめ医療法人の経営者の皆様方に広くご活用いただけるものと考え、ここに推薦する次第です。
平成 24年 12月
日本税理士会連合会
会長 池 田 隼 啓
はしがき
本書の初版は、平成 21 年 12 月に出版させていただいたわけですが、この度、第二版を出版させていただく運びとなりましたことに、著者一同、感謝する次第です。
初版は長期にわたって継続的に出庫が続いたと聞いていますが、これも、読者の皆様方に本書の内容を高く評価していただいた証左であろうと感じています。
初版の「はしがき」においても述べましたが、本書においては、医療法人の法務と税務に関する実務経験が豊富な執筆陣が、医療法人の実務において生ずる多くの疑問点等を抽出し、その疑問点等に対して、 医療法をはじめとする関係法令や各種通知等を踏まえ、深度ある検討を行い、充実した内容の回答を提示しています。
従来、医療法人の法務と税務に関しては、疑問点等が存在するにもかかわらず、これらに十分な回答等を出さないまま、実務対応がなされていたところがあり、これが大きな課題となっていました。医療法人の法務と税務には、このような課題が存在することが、初版を起稿することとした大きな理由であったわけですが、残念ながら、このような事情は、現在も、あまり改善されていないように見受けられます。
平成 21 年 12 月の初版の出版以後、現在までの間に、大きな関係法令等の改正が行われたわけではありませんので、第二版の改訂はあまり大きなものとはなっていませんが、第二版は、この間の関係法令や各種通知等の改正等をすべて反映させたものとなっています。
このため、第二版は、初版と同様に、医療法人の法務と税務の実務に携わる皆様方の良き参考書となるものと考えています。
最後に、第二版の出版にご協力いただいた法令出版の皆様方に、厚く御礼を申し上げます。
平成 24年 11月
日本税制研究所 代表理事
税理士 朝長英樹
目 次
第Ⅰ部 医療法人の法務
第1章 医療法人制度の沿革…………………………………………………… 2
第1節 医療法人制度の沿革………………………………………………… 2
第2節 経過措置型医療法人と新設医療法人の差異……………………… 33
第3節 医療法人制度が改正された理由…………………………………… 34
第4節 非営利の意味………………………………………………………… 36
第2章 医療法人の種類……………………………………………………… 40
第1節 医療法人の種類……………………………………………………… 40
第2節 特例民法法人と医療法人の違い…………………………………… 112
第3章 医療法人の設立………………………………………………………… 114
第4章 医療法人の組織………………………………………………………… 170
第5章 医療法人の運営………………………………………………………… 178
第6章 医療法人の事業譲渡・合併・解散等………………………………… 240
第7章 医療法人の会計………………………………………………………… 254
第Ⅱ部 医療法人の税務
第2章 医療法人の法人税 458
第3章 医療法人の消費税 604
第4章 医療法人の所得税 632
第5章 医療法人の相続税・贈与税 652
第6章 医療法人の印紙税 702
第7章 医療法人の地方税 712
<資料等一覧>
第Ⅰ部 医療法人の法務
【資料1】医療法の一部を改正する法律の施行に関する件
(昭和25年8月2日厚生省発医第98号各都道府県知事宛 厚生事務次官通
知)………………………………………………………………… 9
【資料2】医療法の一部改正について
(昭和60年12月27日厚生省発健政第112号各都道府県知事宛 厚生事務次官
通知)……………………………………………………………… 12
【資料3】医療法の一部改正について
(平成4年7月1日厚生省発健政第82号各都道府県知事宛 厚生事務次官通
知)………………………………………………………………… 16
【資料4】医療法の一部を改正する法律の一部の施行について
(平成4年7月1日健政発第418号各都道府県知事宛 厚生省健康政策局長
通知)……………………………………………………………… 20
【資料6】医療法人制度について
(平成19年3月30日医政発第0330049号各都道府県知事宛 厚生労働省医政
局長通知)…………………………………………………………………………… 27
【資料7】医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について
(平成5年2月3日総第5号・指第9号厚生省健康政策局 総務課長・厚生
省健康政策局指導課長通知)…………………………………… 37
【資料8】医療法人の種類……………………………………………………… 40
【資料9】医療法42条の2の1項5号に掲げる厚生労働大臣が定める 基準につい
て……………………………………………………………………… 48
【資料10】医療法42条の2の1項6号に掲げる公的な運営に関する 厚生労働省令で定 める要件について…………………………………………………… 54
【資料11】社会医療法人の認定申請等関係書類……………………………… 58
【資料12-①】種類別医療法人数の年次推移……………………………… 108
【資料12-②】都道府県別医療法人数……………………………………… 110
【資料13】モデル定款寄附行為
(平成19年3月30日医政発第033049号医政局長通知)……… 115
【資料14】医療法人に対する出資又は寄附について
(平成3年1月17日指第1号東京弁護士会会長宛 厚生省健康政策局指導課
長回答)………………………………………………………… 131
【資料15】医療法人の開設する病院等の名称について
(平成3年2月26日指第12号香川県衛生部長宛 厚生省健康政策局指導課長
回答)…………………………………………………………… 132
【資料16】医療機関の非営利性の確認と名称について
(平成10年10月9日総第28号・指第63号各都道府県 衛生主管部(局)長宛
厚生省健康政策局総務課長・ 厚生省健康政策局指導課長通知)
…………………………………………………………………… 133
【資料17】賃貸借契約に関する覚書(記入例)…………………………… 135
【資料18】設立時の負債内訳書(記入例)等……………………………… 138
【資料19】リース物件一覧表(記入例)等………………………………… 145
【資料20】医療法人の基金について
(平成19年3月30日医政発第0330051号各都道府県知事宛 厚生労働省医政
局長通知)……………………………………………………… 161
【資料21】医療法人の理事要件等について………………………………… 174
【資料22】社員名簿・役員名簿……………………………………………… 186
【資料23】医療法人運営管理指導要綱……………………………………… 187
【資料24】医療法人における事業報告書等の様式について
(平成19年3月30日医政指発第0330003号厚生労働省医政局 指導課長
通知)…………………………………………………………… 217
【資料25】医療法人の定款(寄附行為)変更認可申請書………………… 232
【資料26】医療法人の登記事項の届出書…………………………………… 233
【資料27】行政手続法の施行に伴う審査基準等の設定について
(平成6年10月31日健政発第782号各都道府県知事宛 厚生省健康政策局長 通知)…………………………………………………………… 234
【資料28】特別代理人申請の必要書類例…………………………………… 237
【資料29】特別代理人選任申請書…………………………………………… 239
【資料30】いわゆる「出資額限度法人」について
(平成16年8月13日医政発第0813001号厚生労働省医政局長通知)250
【資料31】医療法人の社員の退社について
(平成3年10月30日指第70号福岡県弁護士会会長宛 厚生省健康政策局指導
課長回答)……………………………………………………… 252
【資料32】病院会計準則の改正について
(平成16年8月19日医政発第0819001号各都道府県知事宛 厚生労働省医政
局長通知)……………………………………………………… 261
【資料33】病院会計準則適用ガイドラインについて
(平成16年9月10日医政発第0910002号各都道府県知事宛 厚生労働省医政
局長通知)……………………………………………………… 301
【資料34】各会計・経理準則における勘定科目の相違…………………… 318
【資料35】「「医療法人債」発行のガイドラインについて
(平成16年 医政発第1025003号)」の一部改正
……………………………………………………………………… 325
第Ⅱ部 医療法人の税務
【資料36】規制改革についての見解(抄)
(平成12年12月12日・行政改革推進本部規制改革委員会)… 345
【資料37】医療法人に対する中小企業者等の機械の特別償却の 適用につい
て…………………………………………………………………… 386
【資料38】特定医療法人の承認タイムスケジュール例(3月決算の場合)423
【資料39】特定医療法人の要件を満たす施設を開設していることの証明願425
【資料40】事前審査時に用意する書類一覧………………………………… 429
【資料41】付表1の収入区分………………………………………………… 445
【資料42】厚生局に提出する書類一覧……………………………………… 446
【資料43】変更・異動届出書………………………………………………… 455
【資料44】特定医療法人の承認申請の承認通知書………………………… 457
【資料45】社会医療法人認定申請書………………………………………… 459
【資料46】社会医療法人の認定の取消について…………………………… 460
【資料47】特定普通法人が公益法人等になる場合の税制上の取扱い…… 462
【資料48】社会医療法人の認定に関する届出書…………………………… 463
【資料49】特定公益法人等が普通法人となる場合の税制上の取扱い…… 464
【資料50】特定医療法人の法人税率の特例の適用の取りやめの届出書… 466
【資料51】消費税法の改正について
(平成3年6月19日健政発第362号各都道府県・ 各指定都市衛生主管部
(局)長宛厚生省健康政策局長通知)………………………… 505
【資料52】看護学生等に貸与した奨学金に係る債務免除益等の 取扱いについ
て…………………………………………………………………… 534
【資料53】医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益等の 取扱いについ
て…………………………………………………………………… 537
【資料54】県から奨学金の貸与を受けた医学生が医師免許取得後県内の
医療機関に一定期間従事することによりその返還及び利息の 支払に係る債
務を免除された場合の課税関係について……………………… 542
【資料55】医療法人税制(現物拠出・移行関係総括表)………………… 553
【資料55】医療法人(その他の産業で小売業・サービス業)の 法人区分早見
表…………………………………………………………………… 569
【資料57】評価明細書の記載要領…………………………………………… 575
【資料58】評価明細書の記載例……………………………………………… 585
【資料58】印紙税額一覧表…………………………………………………… 616
【資料60】医療法人等の社会保険診療報酬に係る所得の課税除外……… 625
【資料61】医療法人等に係る所得金額の計算書…………………………… 628
【資料62】医療法人等に係る所得金額の計算書(記載の手引き)……… 629
【役員退職金Q&A】
Q1 理事長兼院長が、理事長と院長を退職し、常勤医師と なった場合に、役員退職金の損金算入が認められるか。…………………………………… 369
Q2 理事長兼院長が、理事長と院長を退職し、常勤医師に なり、給料を50%以下とした場合に、役員退職金の損 金算入が認められるか。…………………………………………………………………… 372
Q3 理事長兼院長が、理事長と院長を退職し、非常勤医師と なった場合に、役員退職金の損金算入が認められるか。………………………………… 372
Q4 常勤医師が理事となった場合に、常勤医師であった 期間の退職金の損金算入が認められるか。 ……………………………………………………… 373
凡 例
医 法:医療法(昭和 23 年法律第 205 号)
医 法 令:医療法施行令(昭和 23 年政令第 326 号)
医法規則:医療法施行規則(昭和 23 年厚生省令第 50 号)
法 法:法人税法(昭和 40 年法律第 34 号)
法 令:法人税法施行令(昭和 40 年政令第 97 号)
所 法:所得税法(昭和 40 年法律第 33 号)
所 令:所得税法施行令(昭和 40 年政令第 96 号)
消 法:消費税法(昭和 63 年法律第 108 号)
消 令:消費税法施行令(昭和 63 年 12 月政令第 360 号)
相 法:相続税法(昭和 25 年法律第 73 号)
相 令:相続税法施行令(昭和 25 年政令第 71 号)
措 法:租税特別措置法(昭和 32 年法律第 26 号)
措 令:租税特別措置法施行令(昭和 32 年政令第 43 号)
措 規:租税特別措置法施行規則(昭和 32 年大蔵省令第 15 号)
地 法:地方税法(昭和 25 年法律第 226 号)
地 令:地方税法施行令(昭和 25 年政令第 245 号)
法基通:法人税基本通達(昭和 44 年5月1日付直審(法)25)
所基通:所得税基本通達(昭和 45 年7月1日付直審(所)30)
消基通:消費税法基本通達(平成7年 12 月 25 日付課消2- 25)
相基通:相続税法基本通達(昭和 34 年1月 28 日付直資 10)
措 通:租税特別措置法関係通達(法人税編)(昭和 50 年2月 14 日付直法2-2)
措通(相):租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて
(昭和 50 年 11 月4日付直資 2 - 224)
評基通:財産評価基本通達
(昭和 39 年4月 25 日付直資 56(例規)・直審(資)17)