書物・出版物

どこがどうなる!? 平成25年度税制改正の要点解説

朝長 英樹【監修】

阿部 泰久 小畑 良晴 掛川 雅仁 塩野入 文雄 柴原 一
竹内 陽一【編著】
浅野 洋  飯田聡一郎 神谷 紀子 小林磨寿美 武地 義治
中尾 健  長谷川敏也 棟田 裕幸 村木 慎吾 大塚 直子
鈴木 達也 田中 啓子 新沼 潮  幕内 浩 【共著】
朝長明日香【執筆協力】

A5版.単行本・196ページ

清文社(2013/04/05)

定価1,000円(税別)

 

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 平成24年6月21日の民主党・自民党・公明党の3党合意に基づいて、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」(いわゆる消費税増税法案)が国会に提出され、一部修正の上、平成24年8月10日に可決成立していますが、この消費税増税法においては、平成26年4月1日より8%、平成27年10月1日より10%という税率が決まっているのみで、軽減税率を導入するのか、インボイス制度を整備するのかというような重要事項は、先送りされています。

 

 平成24年秋には、政府税制調査会において、各省の要望や財務省の要望にない項目などについて、平成24年11月14日の第7回総会まで議論されましたが、最終的な判断は行われず、棚上げとなっていました。

 

 平成24年12月16日の衆議院選挙により、同年12月26日に自民党・公明党連立の安倍内閣が誕生したことは、周知のとおりです。

 

 平成25年1月11日に、この安倍内閣によって、日本経済の再生に向けた緊急経済対策が閣議決定されて、これを踏まえ従前の政府税調における検討事項も織り込んで、平成25年1月24日に自民党・公明党の税制改正大綱(以下、「大綱」といいます。)が決定され、更に1月29日には、政府の『平成25年度税制改正の大綱』が閣議決定されました。

 

 本書は、この大綱及び『平成25年度税制改正の大綱』に基づき、執筆しています。

 

 

 消費税の増税は、平成26年4月からと想定されますが、この消費税増税に対応して、住宅税制が拡充されています。平成27年分からは、所得税の最高税率が引き上げられ、平成27年以後の相続税・贈与税の最高税率も引き上げられます。

 

 これらに関連して、金融証券税制においては、軽減税率の平成25年での打切りと、日本版ISAの平成26年からの創設、平成28年からの金融所得課税の一体化が行われます。

 

 この相続税の増税に関連して、小規模宅地減税制度の拡充、事業承継税制の認定要件・取消要件の緩和や、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が創設されます。

 

 法人税においては、平成25年度改正として、研究開発税制や民間設備投資税制及び交際費課税などが拡充されます。

 

 復興税制においても、高台移転を推進するための防災集団移転事業促進事業への支援措置などが講じられます。

 

 なお、例年、本書『税制改正の要点解説』においては、大綱に準拠しつつ、最終的には法律案の公表を待って、法律案要綱により作成していましたが、本年度は、大綱の公表が遅れ、また法律案要綱も現在では未公表のため、基本的に、大綱にのみ準拠した内容となっています。

 

 なお平成25年2月22日には、平成25年度税制改正についての3党合意が公表されました。

 

 この3党合意においては、消費の拡大を意図して、交際費課税の大企業への拡大、教育賃金の一括贈与について、結婚、出産費用への拡大等が25年度改正案附則に明記される予定で、平成26年よりの施行が見込まれます。

 

 本書が皆様方の日々の実務にお役に立つようであれば、幸いです。

 

 最後に、本書の刊行にご助力を賜りました清文社の宇田川真一郎氏に著者を代表して御礼を申し上げます。

 

 

                                                    平成25年3月1日

 

                 編著者を代表して 日本税制研究所 代表理事 朝長英樹
                                               税理士 竹内陽一

目 次

 

Ⅰ 個人所得課税関係の改正

 

 

    1 課税所得4,000万円超より45%税率へ・007

    2 給与所得控除の上限設定(平成24年度改正)・008

    3 相続に基づく自社株取得(金庫株)の譲渡所得特例の適用対象者拡大
     ・010

    4 合理的な再生計画に基づく経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課 税措
     置の創設・012

    5 社会保険診療報酬の所得計算の特例について収入金額が7,000万円
     超の者を除外・014

    6 ふるさと寄附金の復興特別所得税に係る控除額の見直し(住民税)
     ・017

    7 復興特別所得税申告書・018

    8 財産債務明細書の記載事項の改正・021

    9 国外財産調書制度の改正・026

 

 

Ⅱ 金融・証券税制の改正

    1 証券税制10%の軽減税率の廃止・028

    2 日本版 ISA・028

    3 特定公社債等の課税方式・031

    4 一般公社債等の課税方式・035

    5 同族会社が発行する社債の取扱い・035

    6 割引債の課税方式・036

    7 株式等の譲渡所得等における課税区分の改組・038

    8 支払調書制度等の整備・039

    9 法人に係る利子割の廃止・039

 

 

Ⅲ 住宅税制の改正

    1 一般住宅の住宅ローン控除(所得税・住民税)・041

    2 認定住宅の住宅ローン控除(所得税・住民税)・048

    3 認定住宅の所得税の特別控除(所得税)・050

    4 省エネ改修工事及びバリアフリー工事に係る住宅ローン控除(所得税)
     ・052

    5 耐震、省エネ、バリアフリー改修工事に係る所得税の特別控除(所 得税)
     ・056

    6 東日本大震災の被災者の住宅の再取得等に係る住宅ローン控除(所 得税・
     住民税)・060

    7 消費税率引上げを踏まえたその他の住宅取得対策・061

    8 中古住宅取得に係る税制特例の適用要件の合理化(所得税・個人住 民税・
     贈与税・登録免許税・不動産取得税・固定資産税)・062

    9 登録免許税の特例措置の延長・064

   10 サービス付き高齢者住宅供給促進税制の延長・066

   11 不動産譲渡等契約書印紙税の改正・068

   12 金銭等領収書印紙税の改正・069

 

 

Ⅳ 復興支援税制の改正

    1 高台移転推進5,000万円特別控除・070

    2 住宅ローン減税の拡充・071

    3 避難解除区域等進出企業即時償却税制等・073

    4 固定資産税免除・076

 

 

Ⅴ 相続税関係の改正

    1 基礎控除5,000万円を3,000万円に・078

    2 税率構造の見直しと最高税率55%に・080

    3 死亡保険金非課税枠の見直しの削除・085

    4 未成年者控除及び障害者控除の見直し・085

    5 小規模宅地等の特例の改正・087

    6 贈与税の税率構造の見直し・095

    7 相続時精算課税制度の適用要件の見直し・100

    8 特別障害者扶養信託に係る贈与税の非課税措置の拡充・102

    9 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置・104

   10 国外に居住する日本国籍を有しない相続人等に対する相続税・贈与 税の,
     課税の適正化・107

 

 

Ⅵ 事業承継税制の改正

    1 事前確認制度の廃止・110

    2 上場株式等を保有する場合の猶予税額の縮小・131

    3 資産管理会社の要件の明確化・135

    4 総収入金額がゼロとなった場合の要件の明確化・137

    5 親族間承継要件の廃止・115

    6 先代経営者の役員退任要件の緩和・118

    7 雇用確保要件の緩和・119

    8 事業再生の際の納税猶予額の再計算、一部免除・121

    9 債務控除方式の変更・123

   10 株券不発行会社への適用・126

   11 提出書類の簡素化・127

   12 雇用確保要件により取消しがあった場合の延納・物納の選択・129

   13 納税猶予額の納付に係る利子税の免除等・130

 

 

Ⅶ 消費税の改正

    1 税率の改正・139

    2 経過措置・139

    3 税率以外の改正点・146

    4 その他・146

 

 

Ⅷ 法人税関係の改正

    1 国内生産等設備投資促進税制の創設・149

    2 環境関連投資促進税制の拡充等・150

    3 研究開発促進税制の拡充・152

    4 中小法人の交際費課税の特例の拡充・155

    5 商業・サービス中小企業活性化税制の創設・156

    6 所得拡大促進税制の創設・158

    7 雇用促進税制の拡充・160

    8 災害損失欠損金記載要件の明確化・163

    9 債務免除益等がある場合の青色欠損金控除の8割制限の取扱い
     ・63

   10 特定資産等譲渡等損失額と適格合併等の場合における欠損金の引継日・使
     用制限・166

   11 投資簿価修正・171

   12 連結法人間適格現物分配・177

 

 

Ⅸ 国際税制関係の改正

    1 徴収共助制度送金事務合理化根拠規定・180

    2 過大利子支払税制と過少資本税制の重複適用排除・181

    3 過大利子支払税制に伴う法人事業税付加価値割の見直し・182

 

 

Ⅹ 納税環境の整備

    1 延滞税等の見直し・185

    2 災害等についての更正の除籍期間等の延長・189

 

 

Ⅺ 3党合意による平成26年度改正・192