朝長 英樹【編著】
>竹内 陽一 神谷 紀子 武田雅比人 鈴木 達也 有田 賢臣
>新沼 潮 北詰健太郎 内藤 卓 浅野 充昌 安原 徹
>藤野 智子 帖佐 誠 田中 恒行 飯田聡一郎 妹尾 明宏
>棟田 裕幸 保坂 裕司 鳥山 昌久 内藤 忠大【共著】
>長谷川敏也 小林磨寿美 大塚 直子 森 裕司 朝長明日香
>【執筆協力】
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は し が き
近年、我が国においては、大企業から中小企業まで、組織再編成を行うケースが非常に多くなっています。既に、組織再編成は、特殊な会社の特殊な行為ではなくなっています。
このような状況に鑑みて、本書のシリーズにおいては、『会社合併実務必携』、『会社分割実務必携』を発刊させて頂いたところですが、近年は、合併や分割に加えて、株式交換と株式移転も増えてきました。
このため、今回、新たに株式交換と株式移転に関する解説書として本書を発刊させて頂くこととしました。
本書は、上記の先行する二つの書と同様の構成となっています。
第Ⅰ部においては、日々、実務に携わっておられる税理士の方々に、実務経験を踏まえて、株式交換又は株式移転を行うべきか否か等の判断に資する事項を記載しています。
実務においては、株式交換と株式移転の課税関係は、まず、これらを行うべきか否かという検討の段階で問題となります。組織再編 成の課税関係は、組織再編成を行った後ではなく、組織再編成を行う前に良く検討する必要があります。組織再編成を行うのか否かということは、その課税関係を知らずして判断することはできない、と言っても過言ではありません。第Ⅰ部に記述している事項は、株 式交換又は株式移転を行うべきか否かという判断を行うに当たって、参考となるはずです。
第Ⅱ部においては、株式交換と株式移転の法務に関して記述しています。 株式交換又は株式移転を行うに当たっては、それらの法務を避けて通ることはできません。第Ⅱ部は、株式交換と株式移転の法務に関して、経験豊富な司法書士と税理士の方々に、実務を踏まえて記述して頂いていますので、特に、実務に携わる方々には、大いに参考として頂けるものと考えています。
第Ⅲ部においては、株式交換と株式移転の税務に関して記述しています。
この第Ⅲ部においては、株式交換と株式移転の税務に関して幅広く取扱いを記載するとともに、実務で問題となる事項に着目して記述しています。この第Ⅲ部も、経験豊富な税理士の方々に、実務を踏まえて記述して頂いていますので、実務に携わる皆様方の参考として頂けるものと考えています。
このような本書が、株式交換と株式移転の実務に携わる税理士・公認会計士・弁護士と企業の税務担当者の皆様方、これらに係る税制の勉強を志す皆様方、これらの税務に関して税務調査・審理事務を担当する国税職員の皆様方などの日々の実務や勉強等に僅かなりともお役に立つようであれば、幸いです。
最後になりましたが、本書の校正等にご尽力を賜わりました森裕司税理士、そして、本書の刊行にご助力を賜わりました法令出版の皆様方に、厚く御礼を申し上げます。
平成 27 年2月
執筆者を代表して
日本税制研究所 代表理事
税理士 朝長 英樹
目 次
第Ⅰ部 株式交換・株式移転の検討
第1章 株式交換・株式移転の検討…………………………… 2
第1節 株式交換・株式移転の概要……………………………… 2
1 法制度導入の経緯 (2)
2 株式交換とは (2)
3 株式移転とは (3)
4 株式交換・株式移転の税制の概要 (4)
第2節 株式交換の利用方法等…………………………………… 6
1 ターゲット会社の全株式を取得する (6)
2 株式の買取りとの違い (6)
3 合併との違い (7)
4 適格株式交換における税制面のメリット (7)
第3節 株式移転の利用方法等…………………………………… 8
第4節 グループ内企業統合………………………………………10
第5節 株式交換完全子会社の自己株式…………………………13
1 保有する自己株式への株式割当 (13)
2 割り当てられた完全親会社株式の処分 (13)
第6節 株式交換完全親会社の自己株式…………………………15
1 保有する自己株式の新株発行に代える交付 (15)
2 簡易株式交換手続への影響 (15)
第7節 無対価の株式交換…………………………………………16
1 無対価の株式交換が発生するケース (16)
2 時価債務超過会社の株式交換 (16)
第8節 簿価債務超過の完全子会社………………………………17
1 会社法と企業会計の処理の概要 (17)
2 会社法の承認手続 (17)
第9節 時価債務超過の完全子会社………………………………18
1 会社法と会計処理の概要 (18)
2 会社法の承認手続 (18)
3 発生するケース (18)
第 10 節 連結納税の選択と株式交換 ……………………………19
第 11 節 連結納税の選択と株式移転 ……………………………21
第 12 節 全部取得条項付種類株式・株式等売渡請求による
> 100%子会社化 …………………………………………23
1 全部取得条項付種類株式による 100%子会社化 (23)
2 株式等売渡請求制度による 100%子会社化 (24)
第2章 株式交換・株式移転の留意点 …………………………26
第1節 会社に関する留意点………………………………………26
1 完全子会社 (27)
2 完全親会社 (29)
第2節 株主に関する留意点………………………………………32
1 完全子会社の株主における会計・税務処理の留意点 (32)
2 株主名簿について検討すべき点 (33)
第3節 株式交換比率・株式移転比率に関する留意点…………37
第4節 株式交換完全子会社が新株予約権を発行している
> 場合の取扱い…………………………………………………38
1 会社法における取扱い (38)
2 企業会計における取扱い (38)
3 税法における取扱い (39)
第5節 その他の留意点(完全支配関係内の非適格株式 交換について)
> ………………………………………………42
第Ⅱ部 株式交換・株式移転の法務
第1章 株式交換の法務 ……………………………………………46
第1節 株式交換の概要……………………………………………46
第2節 株式交換のスケジュール…………………………………48
1 手続の流れ (48)
2 モデルスケジュール (49)
第3節 株式交換契約書の記載事項………………………………53
第4節 他の組織再編成との比較…………………………………57
第5節 完全子会社の自己株式……………………………………58
第6節 株券提出手続………………………………………………59
1 株券発行会社であるか否かの確認 (59)
2 新株予約権証券、新株予約権付社債券を 発行している場合 (59)
3 提出手続 (59)
4 株券提出手続が不要な場合 (61)
第7節 反対株主の株式買取請求…………………………………62
1 株式交換完全子会社における手続 (62)
2 株式交換完全親会社における手続 (62)
3 新株予約権者に対する手続 (63)
5 新株予約権の買取請求 (64)
6 株式及び株式交換新株予約権の買取請求の効力(64)
第8節 株式交換完全子会社が新株予約権を発行している場合の留意点
> …………………………………………………66
1 株式交換契約における新株予約権者に対する対価に関する事項 (66)
2 新株予約権の買取請求 (67)
3 新株予約権証券の提出 (68)
第9節 債権者保護手続……………………………………………70
1 債権者保護手続が必要となる場合 (70)
2 債権者保護手続 (70)
3 異議が出された場合の処置 (73)
第 10 節 簡易株式交換 ……………………………………………76
第 11 節 略式株式交換 ……………………………………………77
第 12 節 効力発生日 ………………………………………………78
第 13 節 登記手続 …………………………………………………79
1 登記が必要となる場合 (79)
2 同時申請 (79)
3 添付書面 (79)
4 登録免許税 (80)
第2章 株式移転の法務 ……………………………………………84
第1節 株式移転の概要……………………………………………84
第2節 株式移転のスケジュール…………………………………85
1 手続きの流れ (85)
2 モデルスケジュール (86)
第3節 株式移転計画書の記載事項………………………………88
第4節 他の組織再編成との比較…………………………………92
第5節 完全子会社の自己株式……………………………………93
第6節 株券提出手続………………………………………………94
1 株券発行会社であるか否かの確認 (94)
2 新株予約権証券、新株予約権付社債券を 発行している場合 (94)
3 株券提出手続 (94)
4 株券提出手続が不要な場合 (96)
第7節 反対株主の株式買取請求…………………………………97
1 株主に対する手続 (97)
2 新株予約権者に対する手続 (97)
3 反対株主からの買取請求 (97)
4 新株予約権の買取請求 (98)
5 株式の買取請求の効力 (98)
第8節 債権者保護手続………………………………………… 100
1 債権者保護手続が必要となる場合 (100)
2 債権者保護手続 (100)
3 異議が出された場合の処置 (102)
第9節 効力発生日……………………………………………… 106
第 10 節 登記手続 ……………………………………………… 107
1 必要な登記手続 (107)
2 同時申請 (107)
3 添付書面 (107)
4 登録免許税 (109)
第3章 株式交換の会計 ………………………………………… 112
第1節 株式交換の概要………………………………………… 112
第2節 取得とされた株式交換の会計処理…………………… 115
1 完全親会社の個別財務諸表上の会計処理 (115)
2 完全子会社の個別財務諸表上の会計処理 (120)
3 株式交換後の連結財務諸表上の会計処理 (121)
4 株主の会計処理 (122)
第3節 共通支配下の取引等とされた株式交換の会計処理… 127
1 完全親会社の個別財務諸表上の会計処理 (128)
2 株式交換完全子会社の個別財務諸表上の会計処理 (133)
3 株式交換後の連結財務諸表上の会計処理 (134)
4 株主の会計処理 (134)
第4節 逆取得とされた株式交換の会計処理………………… 135
1 逆取得となる株式交換 (135)
2 完全親会社(被取得企業)の個別財務諸表上の 会計処理 (135)
3 株式交換後の連結財務諸表上の会計処理 (136)
第5節 株式交換等における新株予約権等の承継…………… 138
1 新株予約権承継の意義 (138)
2 個別財務諸表上の会計処理 (138)
第6節 その他の論点…………………………………………… 145
1 個別財務諸表上の会計処理 (145)
2 連結財務諸表上の会計処理 (146)
第4章 株式移転の会計 ………………………………………… 148
第1節 株式移転の概要………………………………………… 148
第2節 取得とされた株式移転の会計処理…………………… 149
1 完全親会社の個別財務諸表上の会計処理 (149)
2 完全子会社の個別財務諸表上の会計処理 (153)
3 株式移転後の連結財務諸表上の会計処理 (154)
4 株主の会計処理 (157)
第3節 共通支配下の取引等とされた株式移転の会計処理… 158
1 完全親会社の個別財務諸表上の会計処理 (158)
2 株式移転完全子会社の個別財務諸表上の会計処理 (159)
3 株式移転後の連結財務諸表上の会計処理 (160)
4 株主の会計処理 (161)
第4節 単独株式移転…………………………………………… 162
1 株式移転設立完全親会社の個別財務諸表上の会計処理(162)
2 連結財務諸表上の会計処理 (162)
第Ⅲ部 株式交換・株式移転の税務
第1章 適格株式交換 …………………………………………… 166
第1節 完全支配関係・支配関係……………………………… 166
第2節 適格株式交換の要件の概要…………………………… 176
第3節 対価要件と交付金銭等の意義………………………… 178
1 原則 (178)
2 例外 (178)
第4節 完全支配関係法人間の適格株式交換………………… 181
1 概要 (181)
2 対価要件 (181)
3 完全支配関係継続要件 (182)
第5節 支配関係法人間の適格株式交換……………………… 189
1 概要 (189)
2 対価要件 (190)
3 支配関係継続要件 (190)
4 従業者継続要件 (198)
5 主要事業継続要件 (200)
6 支配関係成立時期と適格株式交換 (201)
第6節 共同事業を営むための適格株式交換………………… 202
1 概要 (202)
2 事業関連性要件 (203)
3 事業規模要件又は特定役員非退任要件 (212)
4 事業継続要件 (216)
5 株式継続保有要件 (217)
6 株式交換後の完全支配関係継続要件 (223)
第7節 無対価株式交換………………………………………… 227
1 概要 (227)
2 適格判定 (227)
3 適格無対価株式交換の場合における子法人 及び親法人の処理 (235)
4 適格無対価株式交換の場合における株式交換 完全子法人の株主の処理 (235)
第8節 株式交換・株式移転と消費税(課税売上割合への影響) … 237
1 課税売上割合への影響 (237)
2 たまたま土地の譲渡があった場合と同様の 手法について (237)
3 株式交換・株式移転が予想される場合の対応 (240)
第2章 適格株式移転 …………………………………………… 242
第1節 完全支配関係・支配関係……………………………… 242
第2節 適格株式移転の要件の概要…………………………… 251
第3節 対価要件と交付金銭等の意義………………………… 252
第4節 完全支配関係法人間の適格株式移転………………… 254
1 概要 (254)
2 対価要件 (255)
3 完全支配関係継続要件 (255)
4 完全支配関係成立時期と適格株式移転 (265)
第5節 支配関係法人間の適格株式移転……………………… 266
1 概要 (266)
2 対価要件 (267)
3 支配関係継続要件 (267)
4 従業者継続要件 (272)
5 主要事業継続要件 (274)
6 支配関係成立時期と適格株式移転 (275)
第6節 共同事業を営むための適格株式移転………………… 276
1 対価要件 (276)
2 事業関連性要件 (277)
3 事業規模要件 (280)
4 特定役員非退任要件 (282)
5 事業継続要件 (283)
6 従業者継続要件 (285)
7 親法人株式継続保有要件 (287)
8 完全支配関係継続要件 (292)
第7節 株式移転完全子法人の自己株式……………………… 297
1 概要 (297)
2 株式移転完全子法人が株式移転完全親法人株式を 取得した場合の税務処理 (297)
第8節 株式移転完全親法人における 株式移転完全子法人株式の取得価額
> …………………… 299
第9節 株式移転完全親法人の資本金等の額………………… 300
第 10 節 株式移転に伴う新株予約権の交付 ………………… 301
第3章 非適格株式交換・非適格株式移転 ………………… 306
第1節 完全子法人の有する資産の時価評価………………… 306
1 概要 (306)
2 時価評価の対象資産 (309)
3 時価評価資産から除外されるもの (311)
4 時価評価の単位 (312)
第2節 各時価評価資産の取扱い……………………………… 314
1 棚卸資産 (314)
2 減価償却資産 (314)
3 繰延資産 (316)
4 有価証券 (316)
5 外貨建資産等 (318)
第3節 長期割賦販売等………………………………………… 320
1 完全子法人の長期割賦販売等に係る延払基準の不適用(原則)(320)
2 延払基準の不適用とならないケース(例外)(320)
第4節 完全親法人における完全子法人株式の取得価額及び資本金等の額
> ……………………………… 322
1 完全子法人株式の取得価額 (322)
2 完全親法人の資本金等の額 (328)
第5節 譲渡損益調整資産……………………………………… 329
1 譲渡損益の繰延べと譲渡損益調整資産の定義 (329)
2 有価証券に係る対価の額(特例)(329)
3 完全子法人株式が譲渡損益調整資産に該当する場合 (330)
第6節 特定引継資産等………………………………………… 331
第7節 資産調整勘定…………………………………………… 332
1 非適格株式交換等があった場合の完全子法人が 有する資産調整勘定 (332)
2 非適格株式交換等における資産調整勘定等の 計上の要否 (332)
第8節 営業権…………………………………………………… 333
1 非適格株式交換等があった場合の完全子法人が 有する営業権 (333)
2 非適格株式交換等があった場合の営業権の評価 (333)
第9節 完全支配関係内の非適格株式交換等と時価評価の除外
> …………………………………………… 334
1 資産の時価評価の適用除外 (334)
2 完全親法人の課税関係 (334)
3 完全子法人の旧株主の課税関係 (335)
4 完全子法人の課税関係 (336)
第4章 その他の整備 …………………………………………… 338
第1節 連結子法人株式の帳簿価額の修正…………………… 338
1 制度の概要 (338)
2 株式交換による譲渡 (339)
3 株式移転による譲渡 (339)
第2節 株式交換後に受ける配当等…………………………… 340
1 株式交換完全親法人が受ける配当等 (340)
2 株式交換完全子法人の旧株主が受ける配当等 (342)
第3節 株式移転後に受ける配当等…………………………… 345
1 株式移転完全親法人が受ける配当等 (345)
2 株式移転完全子法人の旧株主の場合 (346)
第4節 所得税額控除…………………………………………… 348
1 原則法における所有期間按分の計算 (348)
2 簡便法における所有期間按分の計算 (350)
第5章 株主の取扱い …………………………………………… 354
第1節 子法人株主の旧株の譲渡損益………………………… 354
1 株式交換 (354)
2 株式移転 (361)
第2節 子法人反対株主に関する取扱い……………………… 364
1 反対株主の課税関係 (364)
2 支払通知書等 (365)
第6章 株式交換と連結納税の開始・加入 ………………… 366
1 連結納税の開始・加入時における制度の概要 (366)
2 適格株式交換完全子法人等の連結納税の開始 (367)
3 適格株式交換による連結納税への加入 (369)
3 非適格株式交換による連結納税への加入 (371)
第7章 株式移転と連結納税の開始・加入 ………………… 372
1 連結納税の開始・加入時における制度の概要(372)
2 株式移転完全親法人の連結納税の開始 (373)
3 適格株式移転完全子法人等の連結納税の開始 (375)
第8章 連結納税の開始・加入と適格合併との差異 ……… 380
1 連結納税の開始・加入と適格合併 (380)
2 適格合併との差異 (381)