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どこがどうなる!?平成31年度 税制改正の要点解説

【監修者】  朝長 英樹

【編著者】  小畑 良晴 塩野入文雄 竹内 陽一

【共著者】  幕内 浩  神谷 智彦 山本 志乃 浅野 洋
       有田 賢臣 飯田聡一郎 池田 真之 伊藤 良太
       大塚 直子 大本 晋作 掛川 雅仁 小林磨寿美
       近藤 光男 佐々木克典 鈴木 達也 武地 義治
       内藤 忠大 中尾 健  西山 卓  長谷川敏也
       藤野 智子 棟田 裕幸

A5判・単行本・200ページ

清文社(2019/4/5)

定価1,400円(税別)

 

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は  し が き

 

  平成31年度税制改正は、消費税率の引上げに伴って起こることが予想される 需要変動を平準化する等の観点、車体課税について地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しを行うという観点、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため研究開発税制の見直し等を行うという観点等から行われています。

 

  また、平成31年度税制改正においては、都市と地方の持続可能な発展のための地方税体系を構築するという観点から、特別法人事業税(仮称)及び特別法人事業譲与税(仮称)の創設等も行われます。

 

  法人税関係の改正は、例年と比べると、あまり大きなものではありませんが、大企業においては、比較的、利用数が多い研究開発税制の見直し、中小企業においては、設備投資等の支援の措置が講じられています。

 

  所得税関係では、住宅ローン控除の拡充が行われます。この拡充措置により、消費税率10%が適用される住宅取得等については、控除期間が3年間延長される(現行10年⇒13年)こととなります。

 

  平成31年度税制改正の中で、比較的、大きく実務に影響を与えるのは、資産課税の改正で、個人事業者について、10年間の時限措置として、事業承継税制が創設されます。これは、事業用の土地、建物、機械等について、適用対象部分の課税価格の100%に対応する相続税・贈与税額を納税猶予する等の措置となっています。

 

  国際税制においては、BEPS(税源浸食と利益移転)への対応として、過大支払利子税制について、利子の損金算入限度額の算定方法の見直し等により、税源浸食リスクに応じて利子の損金算入制限が強化されるとともに、移転価格 税制について、独立企業間価格の算定方法としてディスカウント・キャッシュフロー法を加えるとともに、評価困難な無形資産取引に係る価格調整措置が導 入されます。

 

  自動車税に関しては、平成31年(2019年)10月1日以後に新車新規登録を受けた自家用自動車(登録車)から、小型自動車を中心に全ての税率区分において、税率が引き下げられます。

 

  また、経済取引の多様化等に伴う納税環境の整備として、仮想通貨取引等、経済取引の多様化・国際化が進行する中、適正課税を確保するため、現行実務上行われている事業者等に対する任意の照会について税法上明確化するとともに、高額・悪質な無申告者等の情報について国税当局が事業者等に照会する仕組みが整備されます。

 

  平成31年度税制改正は、その概要を大まかに述べると以上のとおりですが、 政省令や通達まで見なければ取扱いがよく分からないものが少なくありませんので、同改正の適用があると思われるものがある場合には、必ず、これらの内容まで確認をするようにしてください。

 

  なお、本書は、「平成31年度税制改正の大綱」(平成30年12月21日 閣議決定) に基づき起稿し、改正法律案に示された改正規定を追記する等によって作成しています。

 

  本書が皆様方の日々の実務に少しでもお役に立つようであれば、幸いです。

 

  最後に、本書の刊行にご助力を賜わりました清文社の宇田川真一郎氏に編著者を代表して御礼を申し上げます。

 

 

                                                      編著者を代表して

                                                      日本税制研究所 代表理事

                                                              税理士 朝長 英樹

                                                              税理士 竹内 陽一

目 次

 

Ⅰ 法人税関係の改正

 

1 研究開発税制の拡充・1

 

2 中小企業税制の改正・10

 

3 中小企業防災対策資産の特別償却制度の創設・15

 

4 みなし大企業及び中小企業者の範囲の見直し・17

 

5 仮想通貨の法人税課税・23

 

6 給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除・28

 

7 大法人の電子申告の義務化に伴う所要の措置・35

 

8 組織再編成税制の改正・36

 

9 連結納税制度の改正・41

 

10 業績連動給与の改正・43

 

11 外国税額控除における控除対象外国法人税の額の範囲等の見直し・50

 

12 都市再生緊急整備地域等に係る課税の特例の延長等・52

 

13 特別法人事業税の創設・55

 

Ⅱ 資産税関係の改正

 

1 事業承継税制の改正・59

 

2 教育資金一括贈与、結婚・子育て資金一括贈与の特例の見直し・68

 

3 個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設・75

 

4 事業用小規模宅地等の見直し・87

 

5 空き家に係る譲渡所得の特別控除の改正・89

 

6 土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置の延 長・93

 

7 所有者不明土地に係る長期譲渡所得課税の特例の創設・94

 

8 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税特例・97

 

9 民法における成年年齢引下げを踏まえた年齢要件の見直し・100

 

10 特別寄与料の税務上の取扱い・103

 

11 配偶者居住権の評価方法・108

 

12 遺留分制度の見直し・111

 

Ⅲ 個人所得税関係の改正

 

1 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設等・120

 

2 寡婦控除など未婚の母等への子育て支援・126

 

3 夫婦相互間における配偶者に係る控除の重複適用の排除・132

 

4 ふるさと納税制度の見直し・134

 

5 ストックオプション税制の拡充・136

 

6 仮想通貨の所得税の取得価額の計算方法の明確化・139

 

Ⅳ 消費税関係の改正

 

1 平成31年(2019年)10月1日からの消費税率の引上げ・142

 

2 外国人観光客向け輸出物品販売場制度に係る見直し・145

 

3 金地金等の密輸に対応するための仕入税額控除制度の見直し・147

 

4 消費税率引上げに向けての補助金・148

 

Ⅴ 証券税制等の改正

 

1 NISA の一時出国への対応・150

 

2 マイナンバーの告知・利用・153

 

3 情報照会手続の整備・156

 

Ⅵ 医療税制関係の改正

 

1 医療に係る消費税の問題・161

 

2 医療機器等の特別償却の拡充・164

 

3 医療における個人版事業承継税制・168

 

Ⅶ 国際課税関係の改正

 

1 過大支払利子税制の改正・171

 

2 移転価格税制の見直し・181

 

3 CFC 税制の見直し・186

 

※本書では、適用期間等につき原則として法(案)等に基づき和暦で表記しています。2019年5月以後は改元されますので、適宜読み替えをお願いします。