TIJくん

税法の解釈-「納税者の解釈」の意義

 

 我が国においては、法令の解釈は税務執行当局のみが行うものという誤った認識を持つ納税者・税理士が見受けられる状況があり、納税者の法令解釈の重要性については、あまり理解されていないように思われます。

 現在、納税者と税務執行当局との争いが急速に増加する傾向にあることからすると、納税者にとっては、司法当局がどのような解釈を行うこととなるのかということを念頭に置きつつ、法令を正しく解釈するということが非常に重要となっています。

 

【解説】

 法令は、一般に、法律、政令及び省令の三層構造となっており、国会が法律を制定し、その法律の委任を受けて内閣が政令を制定し、その法律又は政令の委任を受けて各省の大臣が省令を制定する。

 

 法人税に関しても、国会が法人税法を制定し、その法人税法の委任を受けて政令である法人税法施行令が制定され、その法人税法又は法人税法施行令の委任を受けて省令である法人税法施行規則が制定されている。

 

 法人は、この法令に基づき、法人税の額を計算して申告・納税を行い、国税局・税務署も、この法令に基づき、調査を行って更正等をすることとなる。この両者の間の争いを解決する裁判所も、この法令に基づき、判決を下すこととなる。

 

 このように、三者は、いずれも法令を解釈しなければならない立場に置かれているのである。

 

 税務執行当局が法令をどのように解釈するのかということは非常に重要であり、法令解釈通達である法人税基本通達等に税務執行当局の解釈が示されているが、これらは、相当に充実したものとなっている。

 

 また、司法当局も、納税者と税務執行当局の法令解釈が対立している場合には自らの法令解釈を示して判決を下す必要があるため、司法当局が法令をどのように解釈するのかということが如何に重要であるのかということは、誰もが承知しているところである。

 

 納税者の解釈と税務執行当局の解釈が対立した場合には最終的には司法当局の解釈に従うこととなるのであり、司法当局の解釈は、納税者と税務執行当局の解釈より以上に重要であるということになる。

 

 これに対し、現状においては、納税者の法令解釈の重要性は、十分には認識されていないと考えられる。

 

 納税者は、法人税の申告、事業計画の策定、税務調査への対応、税務訴訟等に当たり、法令をどのように解釈するのかということが問われることとなり、その解釈が適切か否かによって、納税額、事業計画の信頼性、税務否認額、税務訴訟の勝敗等が変わることとなる。

 

 このような事情にあるにもかかわらず、現実には、納税者が自ら法令を解釈しなければならない立場にあるという認識を十分に持っていないと思われる場合さえもある。

 

 以上のような点に鑑みて、本研究においては、法人税関係法令について、納税者としてこれをどのように解釈するべきなのかという観点から検討を深めて行くこととする。

 

 この検討に当たっては、法令の文言に従って正しく解釈することを心がけるとともに、法令の解釈は最終的には司法当局が採る解釈に従うこととなることから司法当局の解釈がどのようなものとなるのかということを常に念頭に置きつつ解釈を行うものとする。