税法解釈・提案

2007(平成19)年4月からの研究活動-企業税制研究所

「新たな事業体税制(法人税関係)」(継続)

 旧日本租税総合研究所において研究を開始した本テーマについて、引き続き研究を行い、制度案・条文案を作成して、公表・意見募集を行った結果、広く各界から御意見を頂戴しました。

≪中小法人税制のあり方≫

 中小法人に関する現在の税制には、多くの問題点が存在しています。中小法人は、法人税の対象となる法人の98.4%を占めているため、中小法人税制の問題点とは即ち法人税制の問題点である、と言っても過言ではないように思われます。中小法人税制は、我が国の法人税制を考えるに当たって、極めて重要な項目と考えておかなければなりません。

 

 改めて言うまでもありませんが、我が国の中小法人税制には、多くの重い課題が存在していますので、これらを短期間に解決するということは困難であり、中小法人税制改革は、数次の改正により成し遂げるものとせざるを得ません。

 

 このような基本認識に立ち、本委員会の今回の取組みは、中小法人税制改革の第一弾として、その対象を事業体税制に関連する項目と最も優先度が高いと考えられる項目とに絞って検討を行っています。

 

 この前者は、合同会社・合資会社・合名会社の三つの持分会社について、法人税課税ではなく、構成員課税を行うことを提案するものとなっており、後者は、現在の中小法人の税務上の問題点のいくつかを是正しようとするものとなっていますが、この後者は、特殊支配同族会社に関する税制を廃止してその代替措置を提案するものともなっています。

 

 以上の検討内容は、こちらをご覧下さい税経通信07年7月号、123~132頁)。

 

 また、「事業体税制」を含む、法人税制の抜本的改革に向けて取り組むべき課題については、こちらを参照して下さい税経通信07年7月号、113~122頁)。

≪「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」の公表及びご意見の募集について-平成19年6月-≫

 企業税制研究所においては、法人税制を中心に租税法制の改革をめざして研究を進め、わが国の税制として相応しい制度の具体的な提案を行うべく活動を行っているところであり、昨年8月から、法人税改革の第一弾として、事業体税制に関するあるべき法人税課税について検討して参りました。

 

 今般、その検討成果を「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」として取りまとめましたので、本日、ここに公表し、皆様方からご意見等を頂戴することとさせて頂きます。

 

ご意見募集

・ 提案の概要 Ⅰ

・ 提案の概要 Ⅱ

・ 「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」

・ 参考資料 Ⅰ

・ 参考資料 Ⅱ

・ 「新たな事業体税制(所得税関係)のあり方」

≪「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」― 第一次募集意見を踏まえた修正案 ―の公表及びご意見の募集(二次)について≫

 日本税制研究所においては、平成19年6月1日に「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」と題して事業体税制に関する改革案(以下「原案」といいます。)を公表し、7月31日までを期限として、広く意見募集(以下「第一次意見募集」といいます。)を行いました。

 

 第一次意見募集にお寄せ頂いたご意見は、「原案に対して寄せられたご意見」欄に掲載させて頂いたとおりです。多くの有益なご意見をお寄せ頂いたことに対し、御礼を申し上げます。

 この皆様方からお寄せ頂いたご意見を踏まえ、当研究所においては、改めて原案の修正案を作成させていただき、これを公表して、10月31日までを期限とする第二次の意見募集を行うこととしました。

 

 修正案は、原案の非営利事業体税制と組合・持分会社税制を修正したもので、その内容は、「「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」―第一次募集意見を踏まえた修正案―」をご覧下さい。

 

 この修正案には、法人税法改正案を添付しています。制度案だけではなく条文案まで確認してからでないとその是非を判断できない、というご意見に答えて作成したものです。

 

 第二次の意見募集により、新制度案が固まったところで、移行のための経過措置と最終的な規定整備を行いたいと考えています。

 

 また、現在、公益法人制度改革の作業において「公益目的事業」の具体化が重要な課題となっていますが、その参考として、アメリカ・イギリス・ドイツの非関連事業の区分基準の紹介を行っています。

 

ご意見の募集

・ 非営利事業体税制(概要図)

・ 組合税制の制度案(修正案)の概要

・ 「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」(第一次募集意見を踏まえた修正案)

・ 非営利事業体税制(法人税法改正案)

・ 非営利事業体税制(参照条文)

・ 「新たな事業体税制(法人税関係)のあり方」に対して寄せられたご意見

・ 事業体税制改革案に対する賛否のご意見の状況 105KB 07.09.18追加

 

(参考資料)

・ アメリカ 免税団体の非関連事業所得課税(IRS Pub 598)

・ イギリス HMRC&チャリティ委員会HP掲載資料

・ イギリス 要約情報申告(SIR)

・ ドイツ 租税通則法

・ ドイツ 団体と課税(ノルトラインヴェストファーレン州)

 

(特別論考等)

・ 諸外国の税制から考える我が国の新たな非営利事業体税制のあり方(上)

・ 諸外国の税制から考える我が国の新たな非営利事業体税制のあり方(下)

・ アメリカにける非営利事業体税制

・ イギリスにおける非営利事業体税制

・ ドイツにおける非営利事業体税制

・ フランスにおける非営利事業体税制

我が国におけるトン数標準税制の導入(新規)

 我が国は、本来、他国に優位する海洋立国でなければならない立地にありながら、その実情は、我が国外航海運事業者は世界単一市場の下で激しい国際競争にさらされ、安定輸送の中核を担うべき日本籍船は著しく減少するという看過すべからざる状況にある。

 

 他方、主要海運先進諸国に眼を転ずれば、1996年のオランダを皮切りに、欧米諸国はもとより、アジアにおいても韓国・香港・インド・シンガポールが既にトン数標準税制を導入しており、船腹量ベースで世界の商船隊(船腹量)の約7割に適用されている。そして、このトン数標準税制の導入の結果、これらの国々の外航海運事業者は、好況期には大きな減税効果を享受し、相当な比較優位に立っている。

 

 このため、現在、我が国においては、我が国の外航海運事業者の国際競争力を強化することが喫緊の重要課題となっている。

 

 また、海洋立国である我が国においては、当然のことであるが、海運市況の安定や国際海上輸送の質・効率性・安定性を確保することも非常に重要な課題である。

 

 こうした状況の下、船主協会及び国土交通省は、平成19年度税制改正要望事項として、外航海運事業におけるみなし利益課税制度(トン数標準税制)の創設を要望し、平成19年度税制改正の与党税制改正大綱において、「平成20年度税制改正において具体的に検討する。」とされたところである。

 

 当研究所においては、日本船主協会から受託研究として、我が国におけるトン数標準税制の導入に関して研究を行い、本制度は、基本的には、外航海運事業に係る利益の計算をどのような方法で行うのが合理的であるのかという観点から見ればトン数標準税制が世界標準と呼べる方法となっているということを踏まえて導入するものであり、利益計算の有利な方法の選択を認める政策減税措置を講ずるものではないことから、法人税法改正によって導入を図るとともに、我が国の外航海運事業の国際競争力を強化し、安定的な国際海上輸送を確保する等のために日本籍船を増やすという政策的な観点から、租税特別措置法において、トン数標準税制の対象を日本籍船に限定する措置を講ずることとして、その具体的な制度案・改正法令案を提案した。

法人税法等の解釈研究(継続)

 資本等取引、組織再編成を中心に、法人税法の解釈・研究を行っています。

 

(検討事例)

・ 株式の発行と自己株式の取得の取扱い

・ 株式交換・株式移転における剰余金の配当と適格判定

・ 非適格分社型分割における営業権・資産調整勘定の取扱い
(この検討の詳細については、税経通信(07年9月号、169~179頁)に特別論考として掲載)

・ 新株予約権の取扱い

・ 所得税額控除における配当等計算基礎期間等の取扱い

・ 非適格合併の場合の合併法人における未払事業税・未払法人税等の取扱い

・ 合併対価と被合併法人の資産・負債の循環について

・ 非適格合併の場合の被合併法人における営業権・退職金債務等の取扱い

・ 負債調整勘定と負債の重複の有無等について

・ 非適格株式交換における営業権の取扱い

国税通則法関係事項の検討(新規)

≪問題意識≫

 近年は、納税者と課税当局との間のコンフリクト(争い事)をどのように解決するかということが重要な課題となりつつあります。そして、今後、この傾向は、ますます強まっていくものと想定されます。しかしながら、この問題は、一部の項目を対症療法的に手直しすれば解決するという状況とはなっていません。

 

 納税者と課税当局との間のコンフリクトを解決するためには、まず、その前提として、納税者の権利保護と租税回避の防止という納税者と課税当局のそれぞれの拠り所となるものが明確になっていなければならないわけですが、我が国においては、この点に大きな課題が存在しています。

 

 このため、当委員会においては、納税者の権利保護と租税回避の防止という観点から2つのWGを設け、国税通則法関係事項の抜本的な見直しを行うために検討を行っています。

≪納税者保護に関する検討WGの開催状況等≫
開催日時等 内容
第1回
 日時:平成19年11月30日
 場所:東京八重洲ホール
 ○納税者の権利保護に関する諸外国の状況①
(白鵬大学院法学研究科長 石村耕治教授)
第2回
 日時:平成19年12月20日
 場所:東京八重洲ホール
 ○納税者の権利保護に関する諸外国の状況②
(白鵬大学大学院法学研究科長 石村耕治教授)
≪納税義務の履行に関する検討WGの開催状況等≫
開催日時等 内容
第1回
 日時:平成19年12月10日
 場所:総評会館201会議室
○租税回避行為と一般否認規定
 ―カナダ連邦最高裁判例を手掛かりとして-
(駿河大学法科大学院 今村隆教授)